シェフの思いとコースの楽しみ

胡桃茶家のディナーは、コースをメインにご提供させて頂いております。
今までコースとアラカルト2本のスタイルで3年半続けてまいりまして、コース料理からもアラカルトでのご提供をすることがございましたが、今年からはコースとアラカルトは全く別のスタイルへと変更、アラカルトの品数を少し絞ってのメニューへとさせて頂きました。

コースは今まで通りですが、十種十彩ちいさな15種の前菜の盛り合わせから始まり、スープ、お魚、お肉、麺、デザートと沢山の味が楽しめるフレンチスタイルのコースへ。
一方アラカルトは、3年半続けてきた中でオーダーされることが多かった海老のチリソースや黒酢の酢豚、麻婆豆腐等のご用意とさせて頂いております。

シェフがお客様に楽しんで頂きたいスタイルと、お客様が楽しみたいスタイルが合致することもあれば異なることもあり、シェフの思いが伝わりご満足頂けることもあれば、足を運んでくださったお客様のご要望が胡桃茶家のスタイルとは違うこともある。
だから、どうしたら多くのお客様に今のスタイルを受け入れて頂けるのかと色々メニューでも試行錯誤を続けてきた訳ですが、味覚も目的も、流れる時間も、一緒に食事をする相手も違う。胡桃茶家のスタイルが万人のお客様にご満足頂けるなんて難しく、私たちのご提供しているものを心から楽しんでくださるお客様はどちらかといえば少数派かもしれない。
フレンチスタイルの創作中華なんてやめて大衆的な中華料理店にしちゃおうか…なんて、心が折れそうになったこともありますが、それでも今日は何が食べれるのだろうと楽しみにリピートしてくださるお客様からの支えで、今の胡桃茶家のスタイルがあります。

もちろん、コースファンのお客様もいれば、アラカルトファンのお客様もいらっしゃいまして、胡桃茶家は、こうでなきゃいけないなんて頑固おやじのレストランではないので、どちらをお選び頂いても。
ですが、初めていらっしゃるお客様によくお問合せされるのが、どちらがおススメですか?ということ。
アラカルトは、当たり前の物、当たり前の味。
もちろん、当たり前の中でも美味しいものをという気持ちに変わりはありません。
私自信も、たまたま余ってしまったコースの15種の前菜で余ってしまったお酒と営業後にゆっくりと楽しむ時は、それはそれはすごく幸せな時間であるし、今日は無性に麻婆豆腐が食べたい!なんて日も。だから、必ずしもこれを食べてください!なんてことはご案内できませんが…。

「メニューを見ただけでは、自分では頼まなかったであろう物も、新しい味が楽しめるというのもコースの楽しみだね。」
いつもはご自身で自分の献立を立てたいからコースで食事をすることは少ないのだけれど、コースの中の料理に興味があったお客様が先日コースに挑戦してくださった時にそんな風におっしゃってくださいました。
もしも遠方からわざわざ足を運んで、今日は「胡桃茶家の食事を楽しもう」といらしてくださるのであれば、当たり前の味を楽しむよりは、多くの方がもつ中華料理のイメージの幅をもっと広げていきたいとシェフが日々思いを巡らせているコースに挑戦して頂けたら嬉しいです。
私たち自信も、コースファンのお客様にいつまでも足を運んで頂けるように、ちょっと邪道と思われようとも挑戦し続けますので!

鯉の滝登り
激流にも負けず上り続ける鯉の野菜の彫刻。
(金魚じゃありません!)

 

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